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「サケビバ!」国税庁のコンテストに思うこと

国税庁が,「日本産酒類の発展・振興を考えるビジネスコンテスト」を行って作品を募集しています。

開催趣旨は,「少子高齢化等の人口動態の変化、新型コロナウイルス感染症の影響によるライフスタイルの変化等により、国内の酒類市場は縮小傾向にあります。 本事業では、若年層自身にビジネスプランを提案してもらうことで、若年層へ日本産酒類の発展・振興に向けた訴求をするとともに、 優秀なプランの公表により、業界の活性化を図ることを目的としています。」と書かれています。

応募できるのは,20歳から39歳以下の個人やグループです。日本の若い世代は,親世代に比べてアルコールを飲まなくなっており,若者のアルコール需要を喚起するコンテストとなっているようです。1980年は国税収入の5%が酒税でした。2020年は2%と減少しています。

確かにアルコールは合法ですが,ドラッグの中でも身体的,社会的な影響が大きいと言われています。長く依存症の支援にあたっている信田さよ子さんは,「アルコールは薬物の一種であり,人体にとって有害であるという基本的知識が不足しているとしか思えない。未成年者の飲酒喫煙は健康上(脳への影響)のリスクゆえだ。」と話しています。また,依存症対策の取組みをしているNPO法人は,国全体としてはアルコール健康障害対策について考えようとなっている,その重点課題の中に若者と女性が入っている。同じ国なのに対策が逆行しているのではないかと述べ,キャンペーンの中止を要請しています。

子どもたちは,好奇心や仲間意識から,大人になった気分を味わいたいから,また退屈や嫌なことを紛らわせるためなどの理由でお酒を飲みます。日本社会は,アルコールに関して寛大な態度です。国税庁は,過度の飲酒を促すものではないと言っていますが,税収増加のためではないかと批判されています。

思春期の子どもたちの支援をしている立場としては,子どもたちの心理に配慮しながらも健康被害について伝えていかなくてはいけないと思います。

アルコールが心身や社会生活に及ぼす健康被害があることを認識し,対策をきちんと行ってもらいたいと思っています。