子どもセンター ビ・リーヴ

また一つの別れ

1年弱ほどホームで過ごした子が地元に帰ることになり,退居しました。

その子は,自分の居場所だと思っていた場所から引き離されてこちらに来ました。本人にとって,その居場所はやっと見つけた居場所だったのですが,物理的に引き離されてしまいました。その居場所との距離の取り方,付き合い方を模索していましたが,本人は後ろ髪を引かれっぱなしで,こちらのホームで腰を据え,新たな目標を見つけることはとても難しかったのです。

ホームで行ったお別れ会の時に,「今までは別れをべつに何とも思っていなかったけど,今回はちょっと違う。寂しい感じがする。」と話していました。

最後なのでリップサービスの面もあったと思いますが,本人の心が少しでも動いたのなら,ここにいたことの意味があったのではないかと思いました。

本人は,何か面白くないこと,思うようにならないこと,急に対応が変わることなどに出会ったとき,いらいら,もやもやした感じになり,不快を晴らす行動(たくさんの買い物,気晴らしの行動,気分を変える市販薬の使用など)を取っていました。ここでは,何か起こったとき,いらいらなのか,寂しいのか,悔しいのか,困っているのか話をするように何度も声かけをして促してきました。自分の中で何か起こっているのかを見つめ,それを人に伝えないと解決に向かいません。一瞬気持ちを晴らしても根本的な問題の解決にはならず,わけのわからない不満がたまっていくだけです。

自分の気持ちに向かい合うのは決して簡単なことではないと思っているのですが,ここにいるからこそできることだと繰り返し話をしてきました。自分を大事にする感覚を持ってもらいたかったのです。

これからも困難がいっぱいあると思いますが,一つ一つの壁にぶち当たりながら乗り越えていってもらいたいと願っています。遠くから応援の気持ちを送り続けています。