子どもセンター ビ・リーヴ

社会を明るくする運動の標語

7月は,法務省が提唱する,社会を明るくする運動の強調月間であり,再犯防止啓発月間です。今年は,第73回目にあたり,第73回“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~と題して広報用パンフレットやポスターが作られています。

その中の言葉が,いろいろな問題を抱えた当事者や支援者の方から適当ではないという批判が出されています。それは,「#生きづらさを生きていく。」というものです。

生きづらさを抱えながらも,地域のいろいろな人の助けによって生きていく……特に問題はないのではないかと思われるかもしれません。たしかに,生きている限り,誰でも,なにがしかの重荷を抱えて生きています。でも,それを決めるのは誰でしょうか。他でもない自分自身です。他の人から言われることではありません。自分で,自分の人生を引き受けようとすることです。

社明運動は,法務省が提唱している運動です。国の機関がすることは,まず,生きづらさはどうして起こっているのか,どういう構造だからなのかを解明し,生きづらさを減らしていくということに取り組むことではないのでしょうか。

以前,通信でもご紹介しましたが,公認心理士会会長の信田さよ子さんは,「弱さは個人の問題ではなく構造上の問題だ。」と話しています。弱さが個人の考え方,属性の問題にされてしまう風潮を懸念しての言葉です。生きづらいのはその人個人の問題なのでしょうか。

自立援助ホームに入居してくる子ども達も生きづらさを抱えています。あちらこちらにぶつかりながら生きています。まだまだ自分の生きづらさがどういうものか十分にわからず,生きづらさを抱えながらも生きていかなくてはならないという気持ちにもなれません。そんな子どもたちを見ていると,もっと早い段階で問題が起こらないようにできなかったのか。こんなに苦労しないようにできなかったのかと思ってしまいます。

ホームの子どもたちも社会の中で生きていきます。その社会は,多様性を尊重し,生きづらさが少しでも少なくなるような社会であってもらいたいと願いますし,大人の一人としてそのために行動をしていきたいと思います。(管理者:D)