子どもセンター ビ・リーヴ

しんどさは私のせい? 本を読んで考える

私たち自立援助うホームで出会う子どもたちは,「いわゆる思春期」と呼ばれる子どもたちです。思春期は心と体のバランスが崩れてしまいがちで,大変な時期だと言われます。

自立援助ホームで出会う子どもたちは,思春期より以前の小さなころから子どもたちを養育する環境や担い手が課題を抱えていることが多く,逆境と言われる中を生きてきていることが多いです。

『思春期のしんどさってなんだろう? あなたと考えたい あなたを苦しめる 社会の問題』という本を読みました。著者は,鴻巣麻里香さん。福島県白河市でスクールソーシャルワーカーとして活動しています。また,KAKECOMI(かけこみ)という団体として子ども食堂を開催したり,子どもや女性の相談を受けたりしています。

鴻巣さんは,自分のできること,できないことの限界をよく考えていらっしゃる方だと思います。SNSで子どもや女性の問題に関して,その問題や背景にある物事の本質とは何かを考える発信をされています。

この本は,質問に答える形で話が進められています。子どもたちの生の声や子どもたちを支援している精神科医のお話もありますので,とても具体的にリアルに子どもの思いが伝わってきます。

虐待はもちろん大きな心の傷を与えてしまいますが,命を脅かすほどではないけれど,「お前なんてだめだ。」というように否定されたり,無視されたり,大事にしてもらえなかったりする体験が積み重なると,子どもたちの感じ方や考え方に影響を与えます。「自分なんて価値がない。」という色眼鏡をかけさせられて世の中を見ているような感じです。鴻巣さんは,色眼鏡を外し,「私が悪い。」,「わたしのせいだ。」という呪いの言葉を解き放とうと書いています。

まず,大人たち,職員が読んで,子どもたちの声を受け止め,考えていきたいと思います。そうして,子どもたちにも読んでもらいたいと思っています。(管理者:D)