子どもセンター ビ・リーヴ

頭木さんの記事を読んで

文学紹介者であり,『絶望名人カフカの人生論』などの著作がある,頭木弘樹さんのインタビュー記事を読みました。タイトルは,「『病気のおかげで』は本当? 『立ち直りの物語』を求める心理の正体」というものでした。頭木さんは,20代で潰瘍性大腸炎を患い,13年間闘病生活を送ったことがあります。

頭木さんが病気になった時は,「気の持ちようでよくなっていくから。」と心のせいにされることがすごくあったと言います。自分が気持ちを強く持って回復していくことを求められているような感じで,立ち直らない人をなかなか許してくれないと話しています。大変な状態から立ち直った物語は感動をしてもらえるが,つらいままだという話は見向きされません。

「病気になってよかった,○○に気付けたから。」というような言葉を聞きたいという圧力を感じると言います。頭木さんは,「僕は良くなかったと思うんですよ,病気になって。貧乏は良くないし,悲しいことは良くないし,絶望は良くない。でも,避けがたくそういうことはある。その状態をその状態のまま受け入れてほしいですし,その状態でどう生きていくか,という話がもっと必要だと思いました。」と話しています。

立ち直れるか,立ち直れないか。二者択一を迫られる感じがあるが,本当は絶望と希望の間にもいろいろな段階があって,グレーゾーンで耐え忍んでいる人もいっぱいいる。そのグラデーションを無視する風潮が今はすごく強いなと思いますと話しています。

現代社会は,「自己責任論」が強く,失敗すること,やり直しをすることが難しいように思います。何でも本人の責任のみに還元し,大きな問題を小さく小さくしているように思います。

頭木さんの好きなカフカの言葉は,「一番うまくできるのは,倒れたままでいることだ。」だそうです。人生で避けがたく襲ってくる状況の中,その中を生きる物語がもっと豊かにあればいいと思います。倒れたままでもいいじゃない。痛みが治まって,気持ちが整理されて,起き上がってもいいかなと思えるまで,倒れたままでいいじゃない。そんな気持ちで子どもたちのそばにいたいと感じました。(管理者:D)


 

写真は,小さな庭で作った枝豆です。

美味しく食べました。

ミニひまわりも元気に咲きました。